ベルギーで働きます: 現地採用までの道のり
一部の人には既に報告していたのですが、この度2023年5月より、ベルギーにある日本の準政府機関で正社員として働くことになりました。ベルギー、あるいはさらに広くヨーロッパで働きたいと思って修士課程に進学し、ようやく何度目かのスタート地点に立ちます。日本の就活も大変だと聞くけれど、それとはまた違う形のベルギーでの就活もなかなか波瀾万丈だったので、今後誰かの役に立てばと思い、今回の就職の経緯を記憶の新しいうちに残します。
ただしベルギーに限らずヨーロッパでの就活はどこもそうかもしれませんが、運要素も割と強いです。ここに記すことはあくまでも「私個人のケース」として、参考になるところだけ知恵や方法を活用していただければと思います。また、さまざまな場所や人に利害が及ぶことを懸念し、就職先やその他機関の名前等は伏せています。
2022年7月: 某日系機関に自発的に応募
まず、今の就職先の求人に応募する少し前に、“ここで働くのいいかも”と思った日系機関がありました。そしてたまたまLinkedInで、その機関で働いている同年代の方を見つけコンタクトを取ってみると、「求人が出ていなくても履歴書を送ってみたら検討してくれるかも」とのことだったので、その機関に履歴書を送ってみました。こうしたspontaneous application と呼ばれる自発的な求人応募は、ヨーロッパでは割と一般的なようです。私は残念ながら、そのときはやはり同機関で採用は行なっていなかったので面接等には進めませんでしたが、そのとき返信をくださった方(Pさん)に、その後もとても親切にしていただきました。
2022年11月: 就職先機関の求人に応募
履歴書メールを送った4ヶ月後、Pさんからメールが届きました。このメールが現在の就職先の求人情報に関するものでした。私が先に応募した、Pさんの働く機関は現地日系企業からの求人情報も掲載している機関だったからです。添付されたPDFファイルの求人情報を開くと、応募要件には「原則として、ベルギーで有効な労働許可を取得していること」とありました。私はそこで真っ先に「ああ、またビザが理由で面接にすら進めないだろうな」と思いました。というのもそれまでの求人応募で、会社側がビザの申請・発行をできないという理由で、何度も不採用となってきたからです。この点に関してはまた追々書ければと思いますが、ヨーロッパでの就活で最も大変だったのは、ビザを申請してくれる会社を探すことでした。
このため半ば諦め気味でしたが、せっかく個人的にメールで求人を紹介してもらったこともあり、「原則」という言葉の例外に賭けて、教えてもらった求人にはダメ元ですぐに応募してみることにしました。
応募後、求人担当の方(後の上司Aさん)からはすぐに、検討後連絡をするので待ってほしいとの返信をもらいました。この段階で私はそれまで通り、ビザがおろせないという理由でここで終わりになるだろうと思っていたのですが、なんと1週間後、ぜひ一度面談を、という連絡をもらいました。このとき実は既にフルタイムでのインターン勤務が決まっていたのですが、話だけでもと思い面談の日程を組んでもらいました。インターンについてもまた今後記事にできればと考えています。
2022年12月: 一次面接
このとき(まだ現在もですが)、私はsearch year visa という、ベルギーの大学で学位を取った人が1年間滞在を延長できる、職探し用のビザでベルギーに滞在していました。面談ではそういった現状と、就職にあたって必要となる手続きを説明し、また応募したポジションの業務内容等について説明を受けました。
現就職先はEU政策を日本企業に伝えるという役割を担う某省の外郭団体なのですが、求人のポジションは総務で主な仕事は経理や事務作業だったので、正直業務内容に関しては私にとってはそこまで魅力的なものではありませんでした。このときやっていたEU政策リサーチというインターンの業務内容の方が私には興味深く、業務への手応えもあったので、今後インターン先がビザを申請し正社員として雇用してくれることに賭けようかと考えたほどです。面談をしてくれたAさんには「人間関係のストレスがない職場」と言われ会社としての印象もとてもよかったのですが、面談後は実は「本当に採用になったら何を基準に仕事を選ぼう」と考えたりもしていました。
面談が12月頭でクリスマス休暇や年末年始が近かったこともあり、その後の連絡は年明けの1月末でした。私の現在のビザ要件をメールで数点再確認された後、最終面接の案内をもらいました。
2023年2月: 最終面接→内定
2月頭の所長との最終面接では、ほぼ採用決定のような内容で話が進みました。そのときに会社として労働許可の申請が可能である、ということも伝えられました。
そして私が一次面接後に悩んでいた業務内容についてももう一度確認すると、総務はもちろんメインの仕事にはなるが、会社全体としてやっているEU政策レポートのアシスタント業務も、余力でやる分には大歓迎とのことでした。最終面接には、悩んだ末に、採用されたらここに進もうと決意して臨んだのですが、業務内容に対する不安もなくなったことで、100%納得のいく選択をできることになりました。
その後私の採用の可否が社内稟議にかけられ、最終面接の1週間後に内定の連絡をいただきました。
2022年5月: 勤務開始
以上が、今回私の就職先が決定した経緯です。内定の連絡は電話だったのでその後何度かドッキリを疑い(笑)、一部の人には報告していましたが、不安だったので契約書を交わすまではこうして公には言わないようにしていました。4月末に契約書にサインし、5月1日から働くことになっています(実際5月1日はメーデーの祝日なので初出勤は5月2日)。
今回の採用に至った要因は、3つあると考えています。1つめは、冒頭でも述べた運。この採用に限ったことではないですが、ヨーロッパは一括採用システムがほぼないので、ピンポイントで自分にマッチしたポジションが空くかどうかは運頼みな面が多くなります。2つめは、縁。今回の求人を紹介してくれたAさんと繋がることができたおかげで、この募集を知ることができました。本当に親切にしていただき、感謝しています。3つめは、行動。Aさんとつながったのも、最初はその機関に自発的に求人応募をしたことがきっかけでした。また、求人応募の要件に労働許可の保持があったにも関わらず、ダメ元で応募してみたことが、進路の分かれ道だったと今となっては思います。そこで諦めて応募していなければ、今も職が見つからない不安な日々を送っていたかもしれません。
今回の採用の話が進むたび、私は正直「こんなにトントン拍子で人生うまくいってしまって大丈夫なのか」と何度か思いました。あまりにも運がよすぎるのではないかとときどき不安になりました。それでもやっぱり、思い返してみればひとつひとつの自分の取った行動や選択が今回の結果につながっているように思います。
私がうまくいったからと言って、同じ方法で海外で職が見つかるわけではありません。むしろ見つからない可能性も高いです。なんなら私も、今から会社にビザの申請をしてもらうことになりますが、ベルギーの移民省から申請が拒否されればそれで終わりです。どこまでいっても安心できない、厳しい世界だなと思います。けれどここまで来れたのは、確実に自分にできることをやったからで、その結果に対しては堂々と突き進んでいくつもりです。
同級生には2〜3年ほど遅れての初就職。ようやく働けます。ようやく、ベルギーにずっと住み続けるための第一歩を踏み出せます。これからは、同じ道を志す未来の人のために、私の経験を発信していけたらと思っています。
すでに登録済みの方は こちら