韓ドラの主人公と私
絶賛韓ドラにハマっている。
小学生のときからほぼ毎年母や友達家族と韓国旅行に行き、中学生のときには『美男ですね』や『ドリーム・ハイ』にハマって、部活から帰るや否やDVDレコーダーの電源を入れる生活をしていた。それ以来の韓ドラブームの再来(私の中で)である。
今回まずハマったのは『ウヨンウ弁護士は天才肌 (이상한 변호사 우영우)』で、友達の“風早くんみたいなのがおるんよ!!!!”というひとことで見始めた(別に特段君に届けが好きなわけではない)。そしたらまんまと風早くん改めイジュノ、いやカンテオの沼に落ちた。
その後彼が出演する『それでも僕らは走り続ける (런온)』、ウヨンウをすすめてくれた友達に今すぐ見ろと言われた『愛の不時着 (사랑의 볼시작)』、母に勧められた『シスターズ(작은 아씨들)』(余談だが母も韓ドラ好きというか、私より韓ドラファンである)を次々に完走し、今は別の韓国オタクの友達に勧められた『キム秘書はいったい、なぜ?(김비서가 왜 그럴까)』を見ている最中である。ついでに推しが言っていることを一次情報で理解したくて、中学のときにハングルだけ覚えた韓国語を本格的にスタートしたりもしている。
そんな韓国の沼にズブズブと足を踏み入れている私は、最近ベルギーで大学院を修了した。修士課程の正式名称はMaster of Science in Communication: Journalism and Media in Europeで、その名の通りジャーナリズムについて、その政治や経済との関わりや現代ジャーナリズムのトレンドなどを1年間で学び、修論は日本の選挙期間中の市民キャンペーンがどのような印象を受けているのかについて調査した。授業と修論を並行して1年でやるのは非常にコンパクトすぎて、去年の今頃から年末年始あたりはけっこうキツかったのだけど、さすがに修士課程ともなると内容が専門的でディープでおもしろかった。そして学べば学ぶほど、「日本にジャーナリズムなんてものはないんだな」という感想を抱くばかりだった。
授業からももちろん多くの学びを得たけれど、振り返ってみると、私はそれ以上に、周りの人からさまざまなことを学んだ1年だったなと思う。
おそらくその中で私に1番重くのしかかったのは、「自分の人生を生きること」。
私も大学卒業時に、就活や就職という日本で多くの人が取る選択をあえて取らず、周りのサポートを受けながらも、なんとか自分で海外の大学院に進むという道を切り拓いてきた。だから、自分の人生にはある程度誇りと自信を持っているつもりだった。別に今でもその2つは持ち合わせているが、大学院で出会った人たちに比べれば、私の選択なんて“普通”であるということを思い知らされた。
たとえば、これが2つ目の修士課程だという友達。
ベルギーの教育システムが自分には合わないからと、学部はオランダの大学に行っていた友達。
メディアで働いていたけどしんどくて、こんなことあと何十年も続けるのは嫌だと学問の道に戻ってきた友達。
いったん就職したけど肌に合わなくて、もっと政治周りの勉強をしたいと修士に進んだ友達。
はたまた今回一緒に卒業したけど、自分のやりたいことを考えるために1年間ギャップイヤーを取る友達もいる。
上記で挙げた友人たちは1人以外みんな女性だし、30歳を超えて結婚している人もいる。クラスの中にはもっと年上の人だっていた。年齢も性別も本当に関係なくて、みんな自分で自分の人生を選んで生きていた。
私は日本では進む人が少ない道を選んだせいで、「すごい」と言われる機会も多い。嬉しいことだし、実際に多少はすごいことなんだろうと思うけれど、私はその言葉をかけられるたび、少し寂しくなってしまう。私のことを遠い存在のように言う友達もいる。私はただ自分の人生を生きているだけで、あなたの人生を生きているあなたと何も変わらないのにな、と思う。
たしかに私のような人生を歩むといろんな障壁があるだろう。たとえば経済的理由で、やりたくてもできない人がいるのも重々承知だ。自分ができることは他人にもできると思ってしまうのが人間の性でもあるのだろうし、私がたまたま運がよくて恵まれていたというのは自覚しているし、認める。
それでも、「自分の人生を生きること」のハードルが、日本ではまだ高いんじゃないかと思ってしまう。本当はみんなそうあるべきで、簡単でなくちゃならないはずなのに、ものすごく難しいことのように捉えられているんじゃないだろうかと思ってしまう。特に私は女性として生きていると、他人に勝手に結婚や出産のライフプランを想像されることも多い。男だろうが女だろうが何歳だろうが、すべての人が自分の人生を思い通りに生きられるようになるといいなと思う。
思えば冒頭で挙げた韓国ドラマの主人公たちは、みんな自分の人生を生きていた。しかもそれは、みんな女性である。ウヨンウは障害を抱えながらもいつも我が道を貫いていたし(それを弁護士の資格を持たない、いわばヨンウより地位の低いイジュノが支えるという構図も素敵だ)、それでも僕らは走り続けるでは、メインの女性キャラ2人がフリーランスの翻訳家と会社経営者だったし、愛の不時着のユン・セリも会社経営者だった。シスターズでは3姉妹全員が、自分たちの信念を貫いてそれぞれの道を歩んでいた。辞表を出したキム秘書も、「秘書としてではなくキム・ミソとして生きたい」と言っている。フェミニズムの盛り上がりに批判も多く集まる韓国で、こういった作品がブームになるのは素晴らしいことだと思う。
私も韓ドラの主人公の彼女たちのように、いや、彼女たちに負けないように、これからも自分の人生を歩んでいく。
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